一般社団法人 日本建築協会 ARCHITECTURAL ASSOCIATION OF JAPAN

会長就任ごあいさつ

建築を通じて社会に貢献する「価値あるプラットフォーム」へ

このたび、設楽前会長のあとを引継ぎ、一般社団法人日本建築協会の会長に推挙いただきました指田孝太郎です。100年を超える長い歴史と伝統を持つ日本建築協会の会長職を務めさせていただくことは大変光栄であるとともに、その重責に身の引き締まる想いです。誠心誠意力を尽くす決意ですので、会員の皆様のご支援、ご協力をよろしくお願い致します。

昨年春以降、新型コロナウィルス感染拡大により、社会が大きく変化し、私たちの生活スタイルも一変しました。地球温暖化に関して国策として達成目標が掲げられ、建築も含めて個々の領域、企業、個人にその対応が求められており、私たちは大きく世界が変容していく真っただ中にいます。本協会においては、近年、会員数の減少に伴う様々な課題を抱えている状況で、我々を取り巻く環境激変の中、新たに進化していく必要があります。

「ピンチはチャンス」でもあり、当初は戸惑いながらも取り組んだリモートワークやWeb会議も、業種によっては日常となり、事務手続き等もデジタル化され効率化が図られるなど、多様な新しい働き方に向けて動き出しています。本協会のピンチもチャンスにするべく、活発な議論が続けられています。一つ目は「建築と社会」誌の見直しです。大正6 年の創刊以来、来年には1200号に達する長い歴史と伝統を誇る会誌ですが、ここ数年広告収入の減少、作品掲載の減などにより恒常的に赤字が続いています。このため、一昨年から、収支改善に関して議論を始めましたが、協会のあり方、活動全体に広がる大きな流れとなってきました。

4月号ではその議論の一端を紹介していますが、本協会の特徴は、「アーカイブ性」(その時々の建築と社会に関する情報を発信し、長い歴史を誇る貴重な歴史に連なっていく)と、「サロン性」(会員どうしや社会と出会い、つながり、「参加して楽しい」活動の場を生み出す)であると示されています。「建築と社会」誌という歴史ある会誌の再編、活性化は、本協会にとって極めて重要なプロジェクトであり、来年には装いも新たな「建築と社会」誌を提供したいと考えています。

二つ目は会員を増やすための工夫です。高齢化や退職が主な原因ですが、会員数は最盛期の半分と非常に厳しい状況です。また、会員としての魅力が乏しいなど率直なご意見も拝聴しています。With/Afterコロナ時代にあって、他者との繋がり、共感性、利他性の大切さが語られる中、本協会設立の趣旨である「多様な領域の会員によって協会を構成し、建築を通じて社会に貢献していく」という原点に立ち返り、より幅広い領域、学生も含めたより幅広い世代、社会と、多様にボーダレスにつながる、リアルとバーチャル両面でのサロン的なプラットフォームづくりが求められます。皆で知恵を出しあい、実現していきたいと思います。

三つ目は財政基盤の安定です。「建築と社会」誌の見直しとともに、工事請負契約約款事業等、収益に寄与する事業を積極的に展開していきたいと考えています。

日本建築協会の会員であることに誇りを持ち、そこにいることの価値を見出していただけるよう、様々な課題の解決に取り組んでまいります。ご支援をよろしくお願い致します。

会長 指田 孝太郎

会長
指田 孝太郎

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