一般社団法人 日本建築協会 ARCHITECTURAL ASSOCIATION OF JAPAN

第32回茶室見学会大徳寺 三玄院の篁庵(こうあん)と玉林院の蓑庵(さあん)・霞床席

今回は、京都市北区の大徳寺内にある2ヶ所の茶室を見学させていただきます。中村先生のお話をじっくり聞ける機会です。ぜひご参加ください。

■大徳寺三玄院 茶室 篁庵
京都藪内家には初代剣仲が古田織部から贈られた茶室が伝来している。「燕庵」である。藪内家は二代紹智以来、西本願寺門主の茶道師家に迎えられていた。文政八(1825)年文如上人は藪内家の燕庵を山内に写し建てた。これが篁庵である。明治になって篁庵は三玄院に移築されて現在に至っている。移築の際茅葺の屋根が緩い瓦葺に改められたが、他は殆ど旧態を伝えている。燕庵は、古田織部の好みを代表する茶室で、江戸時代には利休の待庵と並ぶ茶室の典型のように取り上げられていた。三畳台目の客座に二本襖を隔てて一畳板畳入の別畳を付した間取が特色である。この別畳のあることによって、客座の伸縮も可能である。別畳がどのように使われたか、またこの茶室には織部による創意工夫が多く含まれている。とりわけ注目されるのが窓の多いことで八窓を数える。利休とは対照的な工夫であった。そうした織部の工夫を検証することの出来る遺構である。

■大徳寺玉林院 茶室 蓑庵・霞床席
大坂の鴻池了瑛は、表千家如心斎の門下の数寄者であった。玉林院本堂背後 に寛保二(1742)年位牌堂「南明庵」を造立した。そして堂の西に草庵茶室「蓑(さ)庵」を、東に鎖の間「霞床席」を建て、全体を茶事で法要を営むことの出来る施設として計画した。そして位牌堂は堂宮大工林重右衛門、茶室、鎖の間は数寄屋大工遠藤庄右衛門が手がけた。庄右衛門は千家出入りの大工であった。蓑庵は西向きに建ち、切妻造杮葺屋根の前面に深く庇を付けおろし、壁面が多く、蹲(うずくま)るような佇まいに形づくられている。
内部は三畳敷で、点前座と客座の間に中板を入れ、そこに炉を台目切とし、中柱を立て台(だい)目(め)構(かまえ)を構成する。天井は客座を二分し、床前をノネ板張りの平天井、躙口側は掛込天井で突上窓をあけ、点前座は菰の落天井としている。壁面の窓は 客座側に連子窓、躙口側は下地突上窓 二つだけである。抑制され精神性の深 い空間こそ、如心斎が継承しようとし た利休の茶の伝統であった。
霞床席は四畳半、土間廊下からの上り口は二枚障子の口で、一間床を構え、その中に違棚を設ける。壁に富士の絵を掛けて霞に見えるところから席名が生じた。壁は張付壁、天井は一面に格天井、長押の代りに竹の付鴨居をめぐらす。茶道口は二本襖の口とし鴨居を低めている。床柱は端正な杉磨丸太「書院」と「草庵」の要素が実に巧みに 思慮深く融合された座敷である。
江戸時代中期の千家流の数寄屋大工の技が生き生きと伝えられた遺構である。

(中村昌生)


日 時 2016年3月26日(土)13:00 ~ 17:00(予定)
※終了しました
講師 中村 昌生 氏(京都工芸繊維大学名誉教授)
見学先 大徳寺 三玄院(京都市北区紫野大徳寺町76)
地図はこちら
大徳寺 玉林院(京都市北区紫野大徳寺町74)
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集合 現地(詳細は参加証に掲載)
最寄駅 京都市営地下鉄「北大路」 / 京都市営バス「大徳寺前」
定 員 35名
(申込み多数の場合は個人会員最優先の先着順)
※定員に達し次第締切
参加費 会員4,500円、一般5,500円、学生は各半額(期日までに指定口座へ前納)
申込方法 3月17日(木)までに
下記フォームまたはFAXでお申し込みください。
(1) 催し名「茶室見学会」
(2) 氏名
(3) 会員・一般・学生の別
(4) 職場名または学校名
(5) 参加証送付先住所
(6) 連絡先電話番号

受付が完了いたしましたら事務局より参加費の振込先をご連絡させていただきます。

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第32回茶室見学会 大徳寺 三玄院の篁庵(こうあん)と玉林院の蓑庵(さあん)・霞床席

三玄院 茶室 篁庵
(京都府指定文化財)

第32回茶室見学会 大徳寺 三玄院の篁庵(こうあん)と玉林院の蓑庵(さあん)・霞床席

玉林院 南明庵・蓑庵・霞床席
(重要文化財)平面図

(通常非公開)
三玄院 茶室 篁庵
 京都府指定文化財(建造物)
玉林院 茶室 蓑庵・霞床席
 国指定重要文化財(建造物)

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